高血圧症、糖尿病、脂質異常症など

高血圧症、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病は、自覚症状がないまま進行することが少なくありません。

これらの病気が長く続くと動脈硬化が進み、脳梗塞や脳出血、心筋梗塞、心不全、腎臓病などの発症リスクが高くなります。

特に高血圧症、糖尿病、脂質異常症は、それぞれが独立した病気というだけではなく、複数の危険因子が重なることで、動脈硬化性疾患のリスクがさらに高くなることがあります。

当院では、血圧、血糖、コレステロールなどを確認しながら、生活習慣の改善や必要に応じた薬物治療を行い、脳卒中などの病気を予防することを意識した生活習慣病の管理を行っています。

高血圧症

高血圧症は、血圧が高い状態が慢性的に続く病気です。

血圧は「上の血圧」と「下の血圧」の2つの数字で表されます。

上の血圧を収縮期血圧、下の血圧を拡張期血圧といいます。

血圧は1日の中でも変動しており、診察室で測った血圧だけでは、普段の血圧の状態を十分に把握できないことがあります。そのため、家庭血圧を測定することが重要です。

収縮期血圧だけでなく、拡張期血圧も重要です

高血圧というと「上の血圧」が注目されがちですが、「下の血圧」である拡張期血圧も重要です。

収縮期血圧は、心臓が収縮して血液を送り出したときの血圧です。一方、拡張期血圧は、心臓が拡張しているときの血圧を示します。

若年~中年の方では、拡張期血圧の上昇が目立つ「拡張期高血圧」がみられることがあります。

一方、年齢とともに動脈が硬くなると、収縮期血圧が上昇し、拡張期血圧はあまり上昇しない、あるいは低下する「孤立性収縮期高血圧」が増えてきます。

つまり、年齢や動脈の硬さによって、血圧の上がり方には違いがあります。

また、拡張期血圧は心臓自身に血液を供給する冠動脈の血流とも関係しています。そのため、特に高齢者や冠動脈疾患のある方では、血圧を下げる際に「低ければ低いほどよい」と単純に考えるのではなく、収縮期血圧と拡張期血圧の両方を確認しながら、症状や持病を含めて治療することが大切です。

高血圧の治療では、収縮期血圧だけを見るのではなく、上下両方の血圧と、その血圧がいつ高くなっているのかを確認することが重要です。

家庭血圧を測ることが大切です

血圧は、診察室では高くても家庭ではそれほど高くない「白衣高血圧」や、診察室では正常でも家庭で高い「仮面高血圧」があります。

特に家庭血圧は、普段の生活に近い状態で血圧を確認できるため、高血圧の診断や治療効果の判定に役立ちます。

家庭では朝と夜に血圧を測定し、一定期間の平均値を確認することが大切です。

朝は、起床後に排尿を済ませ、朝食や服薬の前に、安静にして測定します。

早朝高血圧とは?

「朝になると血圧が高い」という方は少なくありません。

起床前後には、自律神経の活動が変化し、交感神経が活発になります。また、ホルモンや腎臓による血圧調節も変化するため、睡眠中に低下していた血圧は、目覚めに向かって上昇します。

この血圧上昇そのものは生理的な現象ですが、上昇が大きかったり、もともと夜間から血圧が高い状態が続いていたりすると、早朝の血圧が高くなります。

これを早朝高血圧と呼びます。

早朝高血圧には、大きく分けて、

  • 夜間は血圧が低下するものの、起床時に急激に上昇するタイプ
  • 夜間から血圧が高く、そのまま朝まで高い状態が続くタイプ

があります。

早朝の血圧が高い状態は、脳卒中や心血管イベントとの関連が報告されています。

そのため、診察室で血圧がそれほど高くなくても、

「朝だけ血圧が高い」
「起床時の血圧がいつも高い」

という場合には、家庭血圧を確認することが重要です。

夜間高血圧とは?

通常、血圧は日中よりも睡眠中に低下します。

ところが、夜になっても血圧が十分に下がらなかったり、逆に夜間に血圧が上昇したりすることがあります。

夜間の血圧が高い状態を夜間高血圧といいます。

夜間の血圧をより詳しく評価する方法として、24時間自由行動下血圧測定(ABPM)があります。

睡眠中の血圧低下の程度によって、

  • Dipper(ディッパー):夜間に血圧が10~20%低下する
  • Non-dipper(ノンディッパー):夜間の血圧低下が10%未満
  • Riser(ライザー):夜間に血圧がむしろ上昇する

などに分類されます。

ただし、この分類は測定条件などによって変化することもあるため、1回の測定だけでその人の血圧パターンを決めつけることは適切ではありません。

なぜ夜間に血圧が高くなるのでしょうか?

夜間血圧には、自律神経、ホルモン、腎臓による体液・塩分調節など、さまざまな仕組みが関係しています。

夜間に血圧が十分に下がらない背景として、

  • 睡眠時無呼吸症候群
  • 腎臓病
  • 糖尿病
  • 自律神経機能の異常
  • 高齢
  • 肥満
  • 塩分摂取量が多い
  • 二次性高血圧

などが関係することがあります。

特に睡眠時無呼吸症候群では、睡眠中の呼吸停止や低酸素、交感神経の活性化などによって、夜間の血圧が高くなることがあります。

夜間高血圧は、なぜ注意が必要なのでしょうか?

夜間の血圧は、将来の心血管疾患を予測するうえでも重要な情報です。

夜間高血圧や夜間に血圧が十分に下がらない状態は、脳卒中、心血管疾患、心血管死亡、腎機能障害などのリスク上昇と関連しています。

また、日中の血圧が正常でも夜間だけ血圧が高い「孤立性夜間高血圧」が存在します。これは診察室血圧や通常の家庭血圧だけでは見逃される可能性があります。

そのため、

  • 朝の血圧が高い
  • 家庭血圧と診察室血圧が一致しない
  • 高血圧の治療をしているのに血圧が十分に下がらない
  • 睡眠時無呼吸症候群が疑われる
  • 腎臓病や糖尿病がある
  • 脳卒中などの既往がある

といった場合には、1日の血圧変動を評価することが重要になる場合があります。

早朝高血圧と夜間高血圧はどちらが危険?

どちらも注意が必要ですが、夜間血圧は日中の血圧よりも心血管イベントとの関連が強いことが多いとされています。

一方、早朝には交感神経活動の変化などによって血圧が上昇し、心筋梗塞や脳卒中などの心血管イベントが起こりやすい時間帯と重なることから、早朝の血圧上昇も重要です。

ただし、「早朝高血圧と夜間高血圧のどちらが必ず危険」というように単純に比較することはできません。

血圧の高さだけでなく、24時間の血圧の推移、年齢、腎機能、糖尿病、睡眠時無呼吸症候群、心血管疾患の有無などを総合的に評価することが大切です。

高血圧の治療

高血圧の治療では、まず減塩、適正体重の維持、運動、節酒、禁煙などの生活習慣を見直します。

それでも血圧が十分に下がらない場合や、もともとの血圧が高い場合には、降圧薬による治療を行います。

降圧薬にはさまざまな種類があり、それぞれ作用する仕組みや適した患者さんの状態が異なります。

主な降圧薬には、

  • カルシウム拮抗薬(CCB)
  • ARB(アンジオテンシンII受容体拮抗薬)
  • ACE阻害薬
  • 利尿薬(サイアザイド系など)
  • β遮断薬
  • ARNI(アンジオテンシン受容体・ネプリライシン阻害薬)
  • MR拮抗薬(ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬)

などがあります。

どの薬を使用するかは、血圧の程度だけでなく、年齢、腎機能、糖尿病、心臓病、心不全、電解質異常などの合併症や、副作用の可能性を考慮して決定します。

また、1種類の薬だけで十分な降圧が得られない場合には、作用の異なる薬を組み合わせて治療することがあります。

特にARB、ACE阻害薬、ARNI、MR拮抗薬などを使用する場合には、腎機能や血清カリウム値などを確認しながら治療することが重要です。

朝だけ血圧が高い場合や夜間も血圧が高い場合には、診察室で測った血圧だけを見て薬を調整するのではなく、家庭血圧や必要に応じて24時間血圧を確認しながら、薬の種類や作用時間、服薬する時間帯などを検討することが重要です。

糖尿病

糖尿病は、血液中のブドウ糖(血糖)が慢性的に高くなる病気です。

血糖が高い状態が長く続くと、全身の血管や神経に影響し、網膜症、腎症、神経障害などの合併症を起こすことがあります。

また、糖尿病は動脈硬化を進行させ、脳梗塞や心筋梗塞などのリスクを高めます。

糖尿病の管理では、血糖値やHbA1cだけを見るのではなく、血圧、脂質、体重、腎機能、喫煙などを含めて総合的に管理することが重要です。

治療は、食事療法や運動療法を基本とし、必要に応じて血糖降下薬やインスリンなどを使用します。

糖尿病の種類や病状によって治療方針が異なるため、専門的な治療が必要な場合には糖尿病専門医と連携して診療します。

脂質異常症

脂質異常症は、血液中のLDLコレステロールや中性脂肪が高い、あるいはHDLコレステロールが低い状態です。

特にLDLコレステロールが高い状態が続くと、動脈硬化が進行し、脳梗塞や心筋梗塞などの原因となります。

脂質異常症は自覚症状がほとんどないため、健康診断などで指摘された場合には、そのままにせず、一度きちんと評価することが大切です。

治療では、食事、運動、体重、飲酒、喫煙などの生活習慣を見直し、必要に応じて薬物治療を行います。

薬物治療が必要かどうかは、LDLコレステロールの値だけで決まるわけではありません。年齢、糖尿病、腎臓病、喫煙、これまでの心筋梗塞や脳梗塞などの既往を含め、将来の動脈硬化性疾患のリスクを考慮して判断します。

高血圧症・糖尿病・脂質異常症は、まとめて管理することが大切です

高血圧症、糖尿病、脂質異常症は、それぞれ異なる病気ですが、いずれも動脈硬化と深く関係しています。

例えば、

「血圧は少し高いだけだから大丈夫」
「コレステロールだけだから薬は必要ない」
「血糖値はそれほど高くない」

と一つひとつを別々に考えるのではなく、血圧、血糖、脂質、体重、喫煙などを総合的に評価することが重要です。

特に、これらの危険因子が複数重なる場合には、脳卒中や心筋梗塞などのリスクが高くなるため、早い段階から適切に管理することが大切です。

当院での一般内科診療

当院では、高血圧症、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病について、定期的な血圧・血液検査などを行いながら、生活習慣の改善や薬物治療を含めた継続的な管理を行っています。

特に高血圧については、診察室での血圧だけでなく、家庭血圧も確認しながら、朝・夜を含めた血圧の変化にも注意して診療します。

また、生活習慣病は脳卒中や心筋梗塞などの動脈硬化性疾患と密接に関係しています。

脳卒中の予防という観点からも、血圧、血糖、脂質などを適切に管理することが重要です。

健康診断で血圧・血糖・コレステロールなどの異常を指摘された方、現在治療中で薬を継続したい方、生活習慣病について相談したい方は、お気軽にご相談ください。

このような方はご相談ください

  • 健康診断で血圧が高いと言われた
  • 家庭で測ると朝の血圧が高い
  • 血圧の薬を飲んでいるが、朝の血圧が高い
  • 夜間の血圧が高いと言われた
  • 血圧が日によって大きく変動する
  • 糖尿病を指摘された
  • HbA1cが高いと言われた
  • コレステロールや中性脂肪が高いと言われた
  • 生活習慣病の薬を継続したい
  • 脳卒中の予防のために血圧やコレステロールを管理したい

よくあるご質問

血圧は「上の血圧」だけ気にすればよいですか?

いいえ。収縮期血圧だけでなく、拡張期血圧も重要です。

年齢や動脈の硬さによって血圧の上がり方は異なるため、上下両方の血圧を確認する必要があります。

また、血圧の「高さ」だけでなく、「朝に高いのか、夜に高いのか」など、1日の中での変化を見ることも大切です。

家庭血圧はいつ測ればよいですか?

朝と夜の測定が基本です。

朝は、起床後に排尿を済ませ、朝食や服薬の前に、安静にして測定します。

毎日の血圧を記録しておくと、診察時の治療方針を考えるうえで重要な情報になります。

朝の血圧だけ高いのですが、大丈夫でしょうか?

朝だけ血圧が高い場合でも、放置せずに一度評価することをおすすめします。

早朝高血圧には、起床時に血圧が急激に上昇するタイプと、夜間から血圧が高い状態が続いているタイプがあります。

家庭血圧を継続して測定することで、どのような血圧変化が起きているのかを確認することができます。

夜の血圧が高いと言われました。なぜでしょうか?

睡眠中は通常、血圧が低下しますが、睡眠時無呼吸症候群、腎臓病、糖尿病、自律神経機能の異常、高齢、肥満、塩分摂取などが関係して、夜間の血圧が十分に下がらないことがあります。

夜間高血圧は脳卒中や心血管疾患などのリスクと関連するため、必要に応じて24時間血圧測定などで詳しく評価します。

血圧の薬は一生飲まないといけませんか?

高血圧は慢性的に続くことが多いため、長期間の治療が必要になる場合があります。

一方で、体重、食事、運動、飲酒などの生活習慣を改善することで血圧が下がり、薬の量を減らせる場合もあります。

自己判断で薬を中止すると血圧が再び上昇することがあるため、薬の変更や中止については医師にご相談ください。

コレステロールが高いと言われましたが、症状がありません。治療は必要ですか?

脂質異常症は自覚症状がほとんどありません。

しかし、LDLコレステロールが高い状態が長く続くと動脈硬化が進行し、将来的に脳梗塞や心筋梗塞などにつながる可能性があります。

治療が必要かどうかは、コレステロールの値だけでなく、年齢、糖尿病、腎臓病、喫煙、心筋梗塞や脳梗塞の既往などを含めて判断します。

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