子どもの頭痛・めまい・けが

子どもにも、頭痛やめまい、頭をぶつけた後の症状など、脳や神経に関係するさまざまな症状がみられます。

子どもの頭痛には、片頭痛などの一次性頭痛が多くみられる一方で、感染症や頭部外傷などが関係する二次性頭痛、まれではありますが脳や神経の病気が原因となる場合もあります。症状の経過や年齢、発症時の状況などを確認し、必要に応じて画像検査などを行いながら原因を考えていくことが大切です。

「頭痛が続いている」「めまいを繰り返している」「頭を打った後から様子が違う」など、お子さんのことで気になる症状がありましたらご相談ください。

子どもの頭痛

子どもの頭痛には、片頭痛や緊張型頭痛など、脳そのものに重大な病気がない「一次性頭痛」が多くみられます。特に片頭痛では、頭痛だけでなく、吐き気や嘔吐、光や音を嫌がる、腹痛、めまいなどを伴うこともあり、大人とは少し異なる症状として現れることがあります。

一方で、発熱や感染症、頭部外傷、副鼻腔炎などに伴う「二次性頭痛」のこともあります。まれではありますが、脳腫瘍、脳血管の病気、髄液の流れや圧力の異常など、脳や神経の病気が原因となる場合もあります。小児・思春期の二次性頭痛では感染症や頭部外傷が比較的多く、危険な病気が疑われる場合には、症状や診察所見に応じてCTやMRIなどの画像検査を検討します。

そのため、「子どもだから頭痛はよくあるもの」と考えて様子を見るだけではなく、いつから、どのような頭痛が、どのくらいの頻度で起こっているのか、また頭痛以外にどのような症状があるのかを確認することが大切です。

片頭痛などの一次性頭痛

子どもの頭痛で比較的多くみられるのが、片頭痛や緊張型頭痛などの一次性頭痛です。特に片頭痛では、ズキズキする頭痛だけでなく、吐き気や嘔吐、光や音を嫌がる、顔色が悪くなる、めまいや乗り物酔いを伴うなど、さまざまな症状がみられることがあります。

子どもの片頭痛は、大人と比べて頭の両側が痛むことも多く、頭痛の持続時間が比較的短いなど、典型的な大人の片頭痛とは異なる場合があります。そのため、「片側がズキズキする頭痛」というイメージだけでは判断できません。

また、睡眠不足、生活リズムの乱れ、空腹、脱水、ストレスなどが頭痛のきっかけになることがあります。頭痛の起こる頻度や時間帯、学校生活への影響、睡眠や食事との関係などを確認しながら、症状に合わせて診断や治療を行います。

発熱・感染症などに伴う頭痛

子どもの頭痛では、かぜやインフルエンザなどの感染症に伴って、発熱とともに頭痛が起こることがあります。多くは感染症の経過とともに改善しますが、頭痛が強い場合や、吐き気・嘔吐を伴う場合には注意が必要です。

特に、発熱に加えて強い頭痛、繰り返す嘔吐、意識がぼんやりする、反応がおかしい、けいれん、首を動かしにくいなどの症状がある場合には、髄膜炎や脳炎などの重い感染症が隠れている可能性があります。髄膜炎では、典型的な症状がすべて揃うとは限らず、特に乳幼児では症状が分かりにくいこともあります。

そのため、発熱を伴う頭痛では、単に頭痛の強さだけでなく、発熱の経過、嘔吐や意識の変化、けいれん、神経症状などを含めて総合的に評価することが大切です。重い感染症が疑われる場合には、外来での経過観察ではなく、速やかに専門医療機関での検査・治療が必要になることがあります。

脳や神経の病気が原因となる頭痛

子どもの頭痛の多くは片頭痛などの一次性頭痛ですが、まれに脳や神経の病気が原因となっていることがあります。脳腫瘍、水頭症、脳血管の病気などがその代表です。

脳腫瘍では、腫瘍そのものによる刺激に加えて、脳浮腫や脳脊髄液の流れが妨げられることによる水頭症などによって、頭蓋内の圧力が高まり、頭痛や吐き気・嘔吐が起こることがあります。特に、頭痛が徐々に強くなっている、繰り返し嘔吐する、朝に症状が強い、視力や視野の異常、ふらつき・歩きにくさ、手足の力が入りにくいなどの症状を伴う場合には注意が必要です。

ただし、朝の頭痛や嘔吐だけで脳腫瘍や水頭症と判断することはできません。症状の経過や神経学的な診察を含めて総合的に判断し、必要な場合にはMRIやCTなどの画像検査を行います。特に神経症状を伴う場合や、これまでと異なる頭痛が進行している場合には、早めの評価が大切です。

子どものめまい

子どもの「めまい」は、大人のように「ぐるぐる回る」と表現するとは限りません。「ふらふらする」「立つと気持ち悪い」「まっすぐ歩きにくい」「倒れそうになる」など、さまざまな形で訴えることがあります。

原因も一つではなく、片頭痛に関連するめまい、起立したときの血圧や脈拍の変化に関連する症状、耳の平衡機能の異常などが考えられます。また、まれではありますが、脳や神経の病気が原因となっている場合もあります。

特に、めまいを繰り返している場合や、頭痛・吐き気・嘔吐を伴う場合、歩きにくさやふらつきが強い場合、手足のしびれや力の入りにくさなどの神経症状を伴う場合には、症状の経過や神経学的な診察を含めて原因を調べることが大切です。

子どものめまいでは、本人がどのような症状を「めまい」と表現しているのかを確認することも重要です。症状の起こる状況や持続時間、頭痛との関係、立ち上がったときに起こるか、耳鳴りや難聴を伴うかなどを確認し、必要に応じて専門医療機関と連携しながら診断を進めます。

子どもの頭のけが

子どもは、転倒や転落、遊具からの落下、交通事故、スポーツなど、さまざまな場面で頭を打つことがあります。多くは軽い打撲で済みますが、脳しんとうや頭蓋内出血、頭蓋骨の骨折などが起こることもあります。

特にスポーツ中に頭を強く打った場合には、脳しんとうに注意が必要です。頭痛、めまい、吐き気、ふらつき、ぼんやりする、集中しにくい、記憶があいまいになるなどの症状がみられることがあります。症状は受傷直後だけでなく、数時間から数日後に気づかれることもあります。

脳しんとうが疑われる場合は、その日のうちに競技へ復帰させず、医療機関で評価を受けることが大切です。回復後も、いきなり激しい運動や接触を伴う競技に戻るのではなく、日常生活への復帰から軽い運動、競技に近い運動、接触を伴う練習、競技復帰へと段階的に進めます。各段階で症状が悪化しないことを確認しながら進めることが重要です。

また、頭を打った後に首の痛みがある、手足がしびれる、手足に力が入りにくい、歩きにくいなどの症状がある場合には、頭部だけでなく頚椎・頚髄の損傷も考える必要があります。特に手足のしびれなどの神経症状がある場合には、早めの画像検査を含めた評価が必要です。

なお、子どもの軽症頭部外傷や脳しんとうでは、すべてのケースでCTやMRIを行うわけではありません。受傷状況や意識の状態、嘔吐、神経症状などからリスクを評価し、必要な場合に画像検査を行います。急性の重要な頭部外傷ではCTが基本的な画像検査となり、脳しんとうそのものでは画像検査が正常なこともあります。

子どものけいれん・てんかん

子どものけいれんには、てんかんだけでなく、発熱に伴う熱性けいれん、失神、睡眠中の動きなど、さまざまな原因があります。そのため、けいれんがあったからといって、すぐにてんかんと判断するわけではありません。

一方で、発熱がない状態で繰り返してけいれんを起こす、意識が途切れるような発作を繰り返す、突然ぼんやりして反応しなくなるなどの場合には、てんかんを含めた発作性疾患の可能性があります。発作の様子や持続時間、発熱の有無、発作後の状態などを詳しく確認することが診断につながります。

てんかんが疑われる場合には、脳波検査などが診断に重要となります。また、症状や診察所見から脳の構造的な病気が疑われる場合には、MRIなどの画像検査を検討します。

けいれんが長く続く、短時間に繰り返す、発作後も意識が戻らない、呼吸が苦しそう、発作に伴って強い外傷を負ったなどの場合には、緊急の対応が必要になることがあります。

このような場合はご相談ください

お子さんに次のような症状がある場合は、一度ご相談ください。

  • 頭痛を繰り返している、または以前より頭痛が強くなっている
  • 朝に頭痛が強い、頭痛とともに吐き気・嘔吐が繰り返し起こる
  • 頭痛やめまいのために学校生活や日常生活に支障がある
  • めまいやふらつきを繰り返している
  • めまいとともに、歩きにくい、手足がしびれる・力が入りにくいなどの症状がある
  • 頭を打った後から、頭痛、吐き気、めまい、ぼんやりするなどの症状が続いている
  • 頭を打った後に、意識を失った、けいれんした、繰り返し吐いた
  • 頭を打った後に、首の痛みや手足のしびれ、力の入りにくさがある
  • 発熱を伴う強い頭痛や、意識の変化、けいれんなどがある
  • 発熱がないのに、けいれんや意識が途切れるような症状を繰り返している

特に、意識が戻らない、けいれんが長く続く、繰り返しけいれんする、手足の麻痺や強いしびれがある、急激に強い頭痛が起こったなどの場合には、緊急の対応が必要になることがあります。

症状の程度だけでなく、いつから、どのような状況で起こったのか、どのくらいの頻度で繰り返しているのかも重要な情報になります。受診の際には、発作や症状の様子をスマートフォンで動画撮影できる場合には、診断の参考になることがあります。

当院での診療

当院では、子どもの頭痛、めまい、頭部外傷、けいれんなどについて、脳神経外科の立場から診察しています。

まず、症状がいつから始まったのか、どのような状況で起こるのか、どのくらいの頻度で繰り返しているのかなどを詳しく確認し、神経学的な診察を行います。頭痛では、生活リズムや睡眠、学校生活への影響などについてもお伺いします。

必要に応じてMRIやCTなどの画像検査を行います。ただし、子どもの頭痛や軽い頭部外傷のすべてに画像検査が必要というわけではありません。症状や診察所見から検査の必要性を判断し、できるだけお子さんの負担にも配慮しながら診療します。

けいれんや意識が途切れるような症状については、発作の状況や経過を詳しく確認します。必要に応じて脳波検査などが可能な専門医療機関と連携し、適切な診断・治療につなげます。

また、診察や検査の結果から、より専門的な小児医療や緊急の治療が必要と判断した場合には、適切な医療機関へご紹介します。

よくある質問

子どもの頭痛でもMRI検査を受けた方がよいですか?

すべての子どもの頭痛でMRI検査が必要になるわけではありません。頭痛の症状や経過、神経学的な診察などから、画像検査が必要かどうかを判断します。これまでと異なる頭痛が続いている、徐々に悪化している、神経症状を伴っているなどの場合には、脳の病気を確認するためにMRIなどの画像検査を検討することがあります。

子どもが頭を打ちました。元気そうなら受診しなくても大丈夫ですか?

軽い打撲で、その後も普段と変わらず元気であれば、必ずしも画像検査や医療機関の受診が必要とは限りません。ただし、頭を打った後に意識を失った、繰り返し吐く、強い頭痛がある、ぼんやりしている、けいれんした、手足のしびれや力の入りにくさがあるなどの場合には、頭蓋内出血や頚椎・頚髄損傷などの可能性があるため、早急な評価が必要です。

子どもがけいれんしました。てんかんでしょうか?

けいれんがあったからといって、すぐにてんかんと診断されるわけではありません。発熱に伴う熱性けいれんなど、さまざまな原因があります。一方、発熱がない状態でけいれんを繰り返す、意識が途切れるような発作を繰り返すなどの場合には、てんかんを含めた発作性疾患の可能性があります。発作の様子や持続時間、発熱の有無、発作後の状態などを確認し、必要に応じて脳波検査やMRIなどを行って診断します。