
院長 福永貴典
院長挨拶
はじめまして。
私はこれまで脳神経外科医として、脳卒中やくも膜下出血などの脳血管疾患、脳腫瘍、頭部外傷をはじめ、脊椎・脊髄疾患の診療に携わってまいりました。関西ろうさい病院では副部長を務め、脳神経外科領域の専門的な治療や手術に携わる一方、脊椎・脊髄領域の診療・研究にも長く取り組んできました。
病院で専門的な診療に携わる中で、重症化してから受診される患者さんや、もっと早く発見できていればと思う患者さんにも数多く出会いました。そうした経験から、病気の予防や早期発見の大切さを強く感じ、「もっと早い段階から患者さんの相談に乗り、必要な医療につなげたい」と考えるようになりました。
そのような中、ご縁があり、これまで地域の皆さまに親しまれてきた、とみた脳神経クリニックを継承する機会をいただきました。これまで地域に根ざして診療を続けてこられた歩みを大切に受け継ぎながら、これまで培ってきた脳神経外科・脊椎・脊髄領域の知識と経験を生かし、地域の皆さまの幅広いご相談に応えていきたいと考えています。
頭痛、めまい、しびれ、もの忘れ、歩きにくさなど、日常生活の中で感じる症状には、脳や神経、脊椎・脊髄に関わる病気が隠れていることがあります。また、「どこに相談すればよいのだろう」「病院を受診した方がよいのだろう」と迷われることもあると思います。
当院では、まず患者さんのお話を丁寧に伺い、症状の経過や背景を踏まえて原因を考え、必要な検査を適切なタイミングで行うことを大切にしています。MRIやCTなどの画像検査にも対応し、検査結果や治療方針についても、できるだけ分かりやすくご説明します。
脳神経外科・脳神経内科の診療に加え、これまで専門的に診療してきた脊椎・脊髄疾患についても、専門的な知識と経験を生かして診療してまいります。専門的な治療や手術が必要な場合には、地域の医療機関と連携し、適切な医療につなげていきます。手術は治療手段の一つであり、外科医である前に一人の医師として、患者さんにとってより良い治療を総合的に考えることを心がけています。
また、前勤務地では必要に応じて英語での診療を行なっていたため、当院でも日本語に加えて英語での診療に対応しています。海外からお越しの方や日本で暮らす外国人の方にも、安心してご相談いただけるクリニックを目指しています。
「この症状は脳の病気ではないだろうか」「手足のしびれや痛みはどこに相談すればよいのだろう」といった不安を感じたときに、気軽に相談していただける存在でありたいと考えています。
これまで地域の皆さまに大切にされてきたクリニックの歩みを受け継ぎながら、子どもから大人まで、一人ひとりに寄り添い、専門的な知識と経験を生かした、安心につながる医療を提供してまいります。
どうぞお気軽にご相談ください。
院長プロフィール
略歴
- 大阪大学医学部卒業
- 天理よろづ相談所病院 ジュニアレジデント
- 大阪大学医学部附属病院 脳神経外科
- りんくう総合医療センター 脳神経外科
- 医誠会病院 脳神経外科・脊椎脊髄外科
- 米国Emory University Postdoctoral Fellow
- 関西ろうさい病院 脳神経外科・脳血管内治療科 副部長
資格
- 医学博士(大阪大学)
- 日本専門医機構認定 脳神経外科専門医
- 日本脳神経外科学会 脳神経外科指導医
- 日本専門医機構認定 脊椎脊髄外科専門医
- 日本脊髄外科学会 技術認定医・指導医・代議員
- 日本脳神経血管内治療学会 専門医
- 日本脳卒中学会 脳卒中専門医・指導医
- 日本頭痛学会認定 頭痛専門医・指導医
- 日本神経内視鏡学会 技術認定医
- 産業医
- ECFMG Certificate
研究・学術活動
脳腫瘍の基礎研究に取り組み、医学博士を取得した後、米国Emory UniversityでPostdoctoral Fellowとして椎間板変性や再生に関わる基礎研究に従事しました。帰国後は、脳血管障害や脊椎・脊髄疾患を中心に、臨床で得られた知見を論文として発表してきました。これまでの基礎研究と臨床研究の経験を生かし、専門的な診療に取り組んでいます。
主な論文
- Fukunaga T, Toyota S, Murakami T, et al. Cervical radiculopathy caused by epidural venous varix associated with a dural arteriovenous fistula in the anterior condylar confluence: a case report. J Neuroendovasc Ther. 2026.
この研究で伝えたいこと
首の痛みや腕のしびれ・痛みは、椎間板ヘルニアなどによって神経が圧迫されて起こることが多い一方、まれに血管の異常が原因となることがあります。本研究では、硬膜動静脈瘻という脳血管の異常に伴って頚椎の硬膜外静脈が拡張し、頚部の神経根を圧迫することで症状を生じた症例を報告しました。頚椎症性神経根症では、一般的な原因だけでなく、症状や画像所見からまれな原因についても検討することが重要です。
- 大河内 康成、福永 貴典、他. 右前頭葉脳溝に限局した出血源不明のくも膜下出血を契機に判明した低von Willebrand因子血症の一例. 脳卒中. 2026.
この研究で伝えたいこと
くも膜下出血では、脳動脈瘤などの出血源を詳しく調べても、原因が分からない場合があります。そのような場合には、脳血管だけでなく、血液が固まりにくくなる病気など、脳血管以外の原因についても検討することが重要です。
- Fukunaga T, Toyota S, Murakami T, et al. Reply to the Editor: “Thoracic Intradural Extramedullary Cavernous Malformation Mimicking Meningioma”. NMC Case Rep J. 2026.
この研究で伝えたいこと
胸椎の脊髄を覆う膜の内側にできる「海綿状血管腫」は、画像検査で髄膜腫などの他の腫瘍と区別することが難しい場合があります。本報告では、このようなまれな病変について、画像所見や診断上の注意点を含めて考察しました。脊髄腫瘍では、画像だけで診断を確定することが難しい場合があり、症状や画像所見を総合的に判断することが重要です。
- Fukunaga T, Toyota S, Murakami T, et al. A Rare Case of Posterior Fossa Decompression Performed during Pregnancy for Chiari Malformation Type I. NMC Case Rep J. 2025.
この研究で伝えたいこと
Chiari(キアリ)I型奇形は、小脳の一部が頭蓋骨の出口から下がることで、頭痛やめまい、しびれなどの症状を引き起こすことがあります。本報告では、妊娠中に症状が悪化したキアリI型奇形に対して、妊娠中に大後頭孔減圧術を行った症例を報告しました。妊娠中に症状が進行する場合には、母体と胎児への影響を考慮しながら、手術の必要性や適切な時期を慎重に判断することが重要です。
- Fukunaga T, Diaz-Hernandez ME, Heller JG, et al. Runx1 overexpression induces early onset of intervertebral disc degeneration. Aging (Albany NY). 2025.
この研究で伝えたいこと
椎間板は、背骨の骨と骨の間にあり、クッションのような役割を果たしています。椎間板の変性は腰痛などの原因の一つとなりますが、その詳しいメカニズムにはまだ分かっていないことがあります。本研究では、Runx1という遺伝子が過剰に働くことで、椎間板の変性が早期に進行する可能性を明らかにしました。椎間板変性がどのように起こるのかを理解することは、将来的な新しい治療法の開発につながる重要な研究です。
Newsroomで紹介されました
「Overactive RUNX1 gene triggers early disc degeneration linked to aging」という題名で掲載誌AgingのNewsroomで論文が紹介されています。
→ 紹介記事はこちら
- Zhang C, Diaz-Hernandez ME, Fukunaga T, et al. Therapeutic effects of PDGF-AB/BB against cellular senescence in human intervertebral disc. Elife. 2025.
この研究で伝えたいこと
椎間板は、年齢とともに細胞の働きが低下することで、少しずつ変性していきます。本研究では、PDGF-AB/BBという成長因子が、椎間板の細胞の老化(細胞老化)を抑える可能性について検討しました。ヒトの椎間板細胞を用いた研究から、PDGF-AB/BBが細胞の老化に関連する変化を改善する可能性が示されました。椎間板変性の進行を抑える新しい治療法の開発につながることが期待される研究です。
- Fukunaga T, Pearson JJ, Miller RC, et al. PDGF-Releasing Hydrogels for Enhanced Proliferation of Human Nucleus Pulposus Cells. J Biomed Mater Res A. 2025.
この研究で伝えたいこと
椎間板が変性すると、椎間板の中心部にある髄核細胞の数や働きが低下し、椎間板の機能を維持することが難しくなります。本研究では、PDGF(血小板由来成長因子)を徐放するハイドロゲルを用いることで、ヒトの髄核細胞の増殖を促す可能性について検討しました。PDGFを持続的に作用させることで、椎間板の細胞を維持・増やす新しい治療法につながる可能性が示された研究です。
- Fukunaga T, Toyota S, Murakami T, et al. Thoracic Intradural Extramedullary Cavernous Malformation Mimicking Meningioma. NMC Case Rep J. 2025.
この研究で伝えたいこと
脊髄の周囲にできる腫瘍にはさまざまな種類があり、画像検査で特徴が似ているため、手術前に正確な診断をすることが難しい場合があります。本研究では、胸椎の脊髄の内側に発生し、画像検査では髄膜腫と考えられた海綿状血管腫の症例を報告しました。脊髄腫瘍の診断では、画像所見だけで判断せず、病変の特徴や症状を総合的に評価することが重要です。
- Fukunaga T, Yonenobu K, Sasaki M, et al. Combined C1-2 transarticular screw fixation and C1 laminoplasty with interlaminar bone transplant for retro-odontoid pseudotumor: illustrative case. J Neurosurg Case Lessons. 2022.
この研究で伝えたいこと
首の上の部分にある環椎・軸椎の周囲には、加齢や関節の変化などに伴って「環椎・軸椎後方偽腫瘍」と呼ばれる病変ができることがあります。この病変によって脊髄が圧迫されると、手足のしびれや筋力低下、歩行障害などを生じることがあります。本研究では、このような病変に対して、首の骨を固定する手術と脊髄の圧迫を軽減する手術を組み合わせた治療を行った症例を報告しました。上位頚椎の病変では、脊髄の圧迫だけでなく、首の骨の安定性も考慮して治療方法を選択することが重要です。
- 福永 貴典、梅垣 昌士、他. PLIFにおける多孔性構造をもったタンタル椎体間スペーサーの有効性. 脊髄外科. 2022.
この研究で伝えたいこと
腰椎の手術では、傷んだ椎間板を取り除いた後、椎体と椎体の間を支えるために「椎体間スペーサー」を使用することがあります。本研究では、**多孔性構造をもつタンタル製の椎体間スペーサーを用いた腰椎固定術について、その有効性を検討しました。**腰椎の状態に応じて適切な手術方法や使用する材料を選択することが重要です。
- Fukunaga T, Sasaki M, Bamba Y, et al. A rare case of lumbar disc herniation mimicking lumbar discal cyst after percutaneous endoscopic lumbar discectomy. Interdisciplinary Neurosurgery. 2021.
この研究で伝えたいこと
腰椎の病変には、画像検査で椎間板嚢胞と考えられても、実際には椎間板ヘルニアである場合があります。本研究では、術前の画像検査では椎間板嚢胞と考えられていたものが、手術によって椎間板ヘルニアと判明した症例を報告しました。腰椎疾患では、画像検査だけでなく、症状や経過などを総合して診断することが重要です。
- 福永 貴典、梅垣 昌士、他. 頚髄損傷後の上肢アロディニアに対する除圧術の有効性. 脊髄外科. 2021.
この研究で伝えたいこと
頚髄損傷の後には、軽く触れただけでも強い痛みを感じる「アロディニア」という症状が生じることがあります。本研究では、頚髄損傷後に上肢のアロディニアを生じた患者さんに対して除圧術を行うことで、症状の改善が得られた症例を報告しました。頚髄損傷後の痛みの中には、脊髄への圧迫を取り除くことで改善が期待できるものがあることを示した研究です。
- Fukunaga T, Fujita Y, Kishima H, et al. Methylation dependent down-regulation of G0S2 leads to suppression of invasion and improved prognosis of IDH1-mutant glioma. PLoS One. 2018.
この研究で伝えたいこと
グリオーマ(神経膠腫)は、脳に発生する腫瘍の一つで、その性質や進行の程度は患者さんによって異なります。本研究では、IDH1遺伝子に変異をもつグリオーマにおいて、特定の遺伝子の働きが腫瘍細胞の性質や患者さんの予後に関係することを明らかにしました。グリオーマの性質を分子レベルで理解することは、将来的な治療法の開発につながる重要な研究です。
